​【インターネット上の権利侵害に関する手続】​

-請求されている場合-

​インターネット上の権利侵害に関し発信者情報開示請求が行われた際、一般的な手続の流れは、①意見照会段階、②示談交渉段階​、③訴訟段階に、大きく分かれます。以下、各手続の概要に関しまして解説します。

■意見照会段階

<意見照会回答書の送付>

まず、相手方からプロバイダに対して発信者情報開示請求が行われると、プロバイダは、契約者に対し、開示に同意するか否かを尋ねる旨の意見照会回答書を送付します。

ただし、契約者と連絡をすることができない等の事情がある場合、意見照会は行われないこともあります。

<意見照会回答書への対応>

開示に同意するか否か、意見照会回答書の記載欄に記入の上、プロバイダに返送します。

同意するか否かは、後の示談交渉や裁判手続等の見通しを踏まえた慎重な検討が必要となるでしょう。

同意しない場合には、同意しないことのみならず、その理由についても十分に記載し、可能であれば証拠等資料も添付しておくことが望ましいです。なぜなら、契約者からの意見照会回答書を受領したプロバイダは、その意見を参照しながら反論を組み立てるためです。

なお、回期間は2週間程度に定められていることが多く、この間に回答を行わないと、プロバイダは開示してしまうこともありますので、注意が必要です。

■交渉段階

<通知書の送付>

プロバイダから発信者情報が開示されると、この情報を手掛かりに相手方から契約者に対し内容証明郵便等によって通知書が送付されてくることが一般的です。この通知書には、通常「~までに〇〇円お支払いください」などと、請求金額とその支払期限が記載されております。

<通知書等への対応>

通知書の請求内容をそのまま受け入れるか、減額等の交渉を試みるか、又は裁判等の法的手続が行われるまで留保するか、対応を選択する必要があります。

通知書に記載されている請求金額は、裁判例等に照らして過大であることも多く、このタイミングで弁護士が代理人として交渉することで、相当程度減額することができ、又、一方に不利な内容の合意書等によって示談してしまうリスクを回避することができます。また、実際に投稿を行っていないにもかかわらず請求されてしまうこともありますが(e.g.同居人が投稿していたような場合等)、このような場合にも、相手方に対し状況を説明することで、自身への請求自体を阻止できることもあります。

​■訴訟段階

交渉により解決しなかった場合、慰謝料や調査費用等に関し損害賠償請求訴訟を提起されるのが一般的です。

その際、裁判所から特別送達によって訴状等が送られてきます。訴状には原告の請求及び主張の詳細が記載されているので、これに対する反論を検討することになります。

 

反論のポイントは概して以下のとおりです。

ⅰ当事者性(例:投稿者本人ではない場合など)

ⅱ権利侵害性(例:投稿内容が真実で公共性・公益性がある場合など)

ⅲ請求金額(例:慰謝料額が過大な場合、損害の発生経路が不明瞭な場合など)

ⅳ調査費用(例:発信者情報開示請求に要した費用を請求された場合など)

 

上記ポイント等を争いつつ、裁判官の心証等を踏まえ、訴訟上の和解や判決等による事件の終結を目指すこととなります(裁判は約1月に1回程度のペースで進み、その間に主張反論のやりとりや尋問手続等を行い、訴え提起後概ね半年から1年程度で終結します)。

以上の手続において適切な解決を図るには、相当程度専門的な知識経験を要するため、意見照会回答書や、通知書・訴状等を受領した際には、まず一度弁護士に相談し、依頼するか否かを含め、対応方針を検討されることが望ましいでしょう。

当事務所では、総合的な観点からクライアントにとって利益となるか否かを考え、不利益と考えられる場合には受任を控え、利益になると考えられる場合にはご依頼をお勧めする方針をとっております。ご安心してご相談ください。