名誉権・プライバシー権・肖像権等の侵害を理由に
損害賠償請求を行う場合の流れ
投稿記事により名誉権・プライバシー権・肖像権等が侵害された場合、投稿者に対し損害賠償請求を行うためには、
①コンテンツ・プロバイダに対し発信者情報開示請求を行い、IPアドレス等を取得し、
②IPアドレス等に基づき、アクセス・プロバイダを調査し、
③アクセス・プロバイダに対し発信者情報開示請求を行い、当該プロバイダ契約者を特定し、
④投稿者に対し損害賠償請求を行う
という手順を経るのが通常です。
以下、各手続の概要・留意点等についてご説明します。
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■発信者情報開示請求(コンテンツ・プロバイダに対して)
コンテンツ・プロバイダとは、掲示板やレビューサイト等のデジタル・コンテンツを提供する事業者のことを意味します。コンテンツ・プロバイダは、実名登録型(Amazon等)でもない限り、投稿者の氏名住所等の具体的情報を有しておらず、IPアドレス(通信の際に利用者に対し割り当てられる識別番号)等を保有するにとどまります。
そこで、まずは、コンテンツ・プロバイダに対し、IPアドレス等の開示を求めて、発信者情報開示請求を行うことになります。なお、後述するアクセス・プロバイダの通信ログ保存期間との関係から、仮処分申立てを行うことによって、早期の開示を求めるのが通常です。
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■アクセス・プロバイダの調査
アクセス・プロバイダとは、インターネット接続サービスを提供する事業者のことを意味します。アクセス・プロバイダは、契約者の氏名住所等の具体的情報を有しており、又、契約者がインターネット通信を行った際に割り当てられた通信ログを保有していることが通常です。
そこで、IPアドレスの開示を受けたら、これを基にアクセス・プロバイダを調査し、特定します。
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■発信者情報開示請求(アクセス・プロバイダに対して)
アクセス・プロバイダを特定できたら、当該アクセス・プロバイダに対し、上記IPアドレスが割り当てられていた契約者の氏名住所等の開示を求めて、発信者情報開示請求を行うことになります。なお、アクセス・プロバイダが通信ログを保存している期間は、概ね3か月又は6か月のことが多いため、発信者情報開示請求を行う前に、通信ログを保存しておくよう任意請求又は仮処分申立てを行っておくことが望ましいです。
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■損害賠償請求
契約者を特定できたら、当該契約者に対し、裁判外又は裁判上において、損害賠償請求を行うこととなります。なお、契約者=投稿者とは限りませんので(回線を共同利用している場合等)、投稿者の特定には一定の留意を要します。
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上記留意点等を踏まえ、適切な解決を図るには、相当程度専門的な知識経験を要するため、まず一度弁護士に相談し、依頼するか否かを含め対応方針を検討されることが望ましいです(当事務所では、総合的な観点からクライアントにとって利益となるか否かを考え、不利益と考えられる場合には受任を控える方針をとっております)。
なお、本類型における当事務所での弁護士費用は以下のとおりですので、ご参照ください。
■発信者情報開示請求(国内1サイト・5記事以内)
・IPアドレス開示仮処分:15万円
・ログ保存仮処分:10万円
・住所氏名の開示請求訴訟:20万円
■損害賠償請求(請求する場合)
<着手金>
・交渉:20万円
・訴訟:30万円(交渉から移行:差額10万円)
<報酬金>
・経済的利益の15%(最低15万円)
※金額は全て税別で表示しております。
※別途実費(印紙代等)が発生することがあります。
※出頭回数が6回を超えた場合、別途日当(1回3万円)が発生します。
※仮処分につき供託金が10~30万円程度必要となります。
※特に複雑な事案等の場合、協議の上で金額を決定することがあります。