​【不貞慰謝料の算定要素】​

裁判における慰謝料の認定は、個々の裁判官の裁量に全面的に委ねられていること等から、その算定要素について絶対的な基準はありません。もっとも、これまでの裁判例・学説等を見渡すことで、ある程度共通する算定要素が浮かび上がってきます。

不貞慰謝料請求は、「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する利益」を保護するものと理解されます(最高裁平成8年3月26日判決)。このような理解を前提とすると、不貞慰謝料の算定要素は、夫婦関係とそれを侵害する不貞行為等の具体的内容を中心として把握していく必要があります。

​以下、不貞慰謝料の算定要素を列挙・概説します(算定要素は以下に限定されるものではありません)

なお、請求者をX、請求者の配偶者をA、配偶者の不貞相手(被請求者)をYとし、慰謝料が増額に傾く場合を+​、減額に傾く場合を-と表記します。

■X・Aの夫婦関係の内容

ⅰ婚姻関係の有無:内縁~婚約だと-傾向

ⅱ婚姻期間の長短:長いと+、短いと-傾向

ⅲ夫婦仲:円満であれば+、冷却~破綻しているのであれば-傾向

ⅳ子の状況:未成熟の子がいる場合等は+傾向

ⅴ他の不貞関係の有無:請求側(X)にも不貞関係がある場合等は-傾向

■Y・Aの不貞関係の内容・影響

ⅰ不貞関係の期間:長いと+、短いと-傾向

ⅱ不貞行為の回数:多いと+、少ないと-傾向

ⅲ子の有無:不貞行為で子を出産した場合等は+傾向

ⅳ不貞関係の原因:Aの積極性が高い場合等は-傾向

ⅴ夫婦関係への影響:別居・離婚に至る等影響が大きいと+、少ないと-傾向

■不貞発覚後の対応

ⅰ事態改善に向けた対応の有無:Xが関係断絶の要求や離婚の申入れ等をせず放置すると-傾向

ⅱ不貞関係の継続性:発覚後も不貞関係が継続される場合等は+傾向

ⅲ謝罪の有無:Yの謝罪があると-、謝罪がないと+傾向

ⅳ報復行為の有無:嫌がらせ等を行うと-傾向

ⅴ請求するまでの期間:理由なく期間が長いと-傾向