​【不貞慰謝料請求権の消滅時効】​

不貞行為に基づく慰謝料としての損害賠償請求権は、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間」の短期消滅時効にかかります(民法724条1号)。

この消滅時効の具体的な起算点は、以下のとおり、①離婚しない場合と②離婚する場合とで解釈が異なります。

■離婚しない場合

<消滅時効の起算点>

不貞行為を知った時点と解されています(不貞関係が終わった時点ではありません)。

​<参考となる判例>

最高裁判所平成6年1月20日判決は、「夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同棲により第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同棲関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。けだし、右の場合に一方の配偶者が被る精神的苦痛は、同棲関係が解消されるまでの間、これを不可分一体のものとして把握しなければならないものではなく、一方の配偶者は、同棲関係を知った時点で、第三者に慰謝料の支払を求めることを妨げられるものではないからである」としています。

■離婚する場合

<消滅時効の起算点>

離婚が成立した時点と解されています。

<参考となる裁判例>

東京高裁平成10年12月21日判決は、「第三者の不法行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由として損害の賠償を求める場合、右損害は離婚が成立して初めて評価されるものであるから…離婚が成立したときに初めて、離婚に至らせた第三者の行為が不法行為であることを知り、かつ、損害の発生を確実に知ったこととなる」としています。